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■2003/07/01 Tue■  廃墟ブームなんて [長年日記]

 廃墟、廃屋は好きだ。廃れ行くものへの哀切とでもいうか、美しさというと違う気がするが、別種の美しさを感じてしまう。石内都が『モノクローム』に書いていたのだが、皴の入った肉体をとらえて醜さを美しいと感じたのと同じように、生活の皴をとらえてみたいとボクも思う。  ところでいま廃墟が隠れたブームなのだ。ネットの中でも《廃墟》をメインにするサイトがずいぶある。例えばたぶん老舗だろう《Ruin Japan》、ここはうちのリンク集《浮気者》からもうずいぶん前にリンクしている。をっと、いま確認したら、いつの間にか.comとってあるじゃないですか。ボクにとっては、《廃墟》は《トマソン》の延長上にあったりもする。ある意味でおもしろい。
 10年ほど前にバイクで走り回っていたときに、京都の亀岡の奥の日吉ダムに水没する直前の廃校にたまたま行き着いたことがある。たまたまという偶然性がたまらなくおもしろい。割れた窓ガラスを踏んで中に立ち入ったときに、子どもたちの文集や図画が散乱しているのに、なんとも言えない気持ちになった。一方でダムによって水没を余儀なくされた憤りもあった。しかし、たぶんにそれはセンチメンタリズムに支配される感情だったにちがいない。
 一方で、ボク自身はいま赤線跡を追いかけている。ついおとついもまた京都の五條楽園に足を運んだばかりだ。これも一種のセンチメンタリズムと言えるかもしれない。と、同時に踏み入ることのできない疎外感を自分自身に感じてしまうこと、一種のマゾヒズムであったりもする。
 なんでこんなことを急に書きだしたかというと、きのうの朝、テレ朝の「スーパーモーニング」で、こともあろうに、『廃墟を行く』などというシリーズが放送されていた。きのうは東京の奥多摩の廃村だった。レポーターが大袈裟に恐怖感を煽り立てながら、あらかじめ見つけ出されている廃屋に向かっていく。と、そこのにあったのは、明らかにあらかじめセットされた人形が映しだされたのだ。そしてずかずかと廃屋に踏み入って抽出しを開け、中から髪の毛の束を引っ張り出す。アラーキーの言葉を借りると、「もう我慢できません」 そして示される映像は『ローマの休日』の広告が掲載された古新聞。「こうでてくる風景が嘘っぱちじゃ、我慢できません」
 なんと下品なメディアなのか。なんと傲慢なメディアなのか。
 その一方で『廃墟の歩き方』などという本まで出版されている。テレビという下品なメディアは、そのような流れに安易にのっかってしまってるにすぎないじゃないか。このようにして、《廃墟》というひとつのテーマ、《廃墟》を求めてしまう衝動をさえ踏みにじっていく。はたしてこのようなブームになってしまっていいのか。これまで《廃墟》を追い求めてきた人たちにとって、このブームは満足なのか? ボクは疑問に思いさえする。
 






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