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■2004/11/26 Fri■  無差別攻撃 [長年日記]

 高梨豊の『都の貌』という写真集を見て過ごす。まず、見開きでA2のでかさに圧倒される。そしてそこに切り取られた写真のストイックさに押しつぶされる。浅草六区、勝鬨橋、新橋ガード下など、裏表紙に記された飯沢耕太郎のことばを引用すると
《彼もまた、ぼくと同じような怒り(と哀しみ)を抱えこんで、おそらく人類がこれまで経験してこなかったような都市の変貌に立ち合っているような気がしてくる。彼の撮影のスタイルは、感情の表出を抑えて、物や風景に静かに寄り添うものであるが、それだけに逆に怒りや哀しみは深く沈潜しているように思える。》
 「人類がこれまで経験してこなかったような」とはいささか大げさ過ぎると思えるけれど、確かに変貌は進む。そして「怒りや哀しみ」に起因するわけでもなく、単に写真を撮るものの欲望として、それを記録しておきたいと思うのは当然なのだ。以前にも書いたように、ボクも自分が写した街が、とり壊されて、いまはもうないという経験を幾度もしている。写真を撮ったから壊されてしまったのじゃないかと思えるくらいに変貌する。それはひとりの人間の「怒りや哀しみ」などで御しきれるものじゃない。10年ほど前に、ボクが生まれ育った家が壊された。その瞬間に立ち合っていたのに、1ショットさえ撮ることはなかった。撮ろうという気などはなからなかった。そんな欲望なんて湧き起こりもしなかった。
 もし感情を表に出して撮られた写真なら、これほどのインパクトはないだろう。怒りや哀しみを表に出したとき、イジイジとしたとんでもない絵になってしまうことは写真に限ったことではない。そんなことはよくわかってる。だからそんな写真なんか見たくもない。

 ページをめくっていくにつれて、それらの写真がすべて夜ということに気づく。ひたすらパリの街を写して歩いたアジェの姿に高梨豊の後ろ姿が重なる。アジェをシュールの文脈の中にとり込みたかった─それはアジェ自身によって拒否されたが─理由が少しわかった気がする。決してレトロ趣味や怒りじゃない。存在そのものをとらえているからなのだろう。そういう意味で、夜はその存在を際立たせる。その影に引かれている自分に気づく。そういえば、春樹の『海辺のカフカ』のナカタさんの影は半分の濃さでしかなかった。

 荒木経惟の『東京夏物語』 一転、荒木経惟の饒舌さに圧倒される。圧倒されっぱなしだな。こちらは車に乗って、車の中から、カメラビーム(視線)の無差別攻撃をやらかしまくったような。そういえばボク自身の視線に迷いが生じてきていたことに気づいてしまったよ。
 そんなこんなで、またシャッターを押しまくろうとしている自分がいる。






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