「ここは女と歩くのにええやろ、よう歩いたわ」
どうぞ、夫婦げんかしてくださいませ。夫婦そろて人のバカ話読んでる仕返しぢゃああ。 今宮神社でデフォルトのあぶり餅を食す。知ってる人は知ってる話で、ここには2軒のあぶり餅屋があって、向かい合って商売して、非常に仲が悪い。いがみ合うとるのね。どっちも似たり寄ったりなのに、一方は「元祖」、一方は「根元」などとたわけたことを。そこで5人でグッパーでどっち入るか決めた。どっちでもいいのだ。ぎゃあぎゃあいがみ合うほど頭の芯まで美味いいいいいいいと腰ぬかすようなものではない。うわうわうわうわうわわわわわわ(←酔狂風に)感激するようなものではない。現にきょうも文句タレらっきょは「これで500円、ボロい商売しよるな」と身も蓋もありゃせん。まぁ彼には無縁といえば無縁みたいなものだが、デフォルトなのだった。そうかきな粉に白味噌ね、今度やってみたろ。あぶってちょこっとこがしたらええんや。 今宮神社には、将軍神社があるという。何を祀ってるかというと、もちろん将軍で、将軍というのは神様でもなくて、なんや悪霊を懲らしめるとか、それで都の周囲に将軍を祀って都を守ったとか。それにしては今宮神社にあった将軍神社は隅の方の誰も気ぃつけへんようなちっこい社だけだった。 今宮神社を出てからはぽっつぽっつ雨が降り始めて、おまけにヒゲのナビるコースはあまりおもろなかった。最初からこのあたりはおもろないと予告しておったから許してやろう。ごにょごにょごにょと歩いて北野天満宮。観光客多し。梅一輪早くも開いておって、東風でも吹かばだが、おしっこしただけでさっさと通り抜け、将軍八神社へ。ここらあたりではもうかなり雨に濡れて、傘を持たぬボクと蘊蓄斎は意気消沈。3人で勝手に見ておった。 一条通りを東に向かって、つぎは五番町。 「ん?碁盤みたいになってるんか?」 「おっさん、ヒマやねんから、ちょっとは本でも読めや」 ところがその碁盤町、をっと変換ちゃうがな、五番町、マリーがおったとこや。と、探すのだがなかなかわからない。ふっと見ると前に、見るもよさげな飯屋あり。飯食おうともう2時回ってました。中に入るとこれがピンポーン! きょう一番雰囲気よかったのはこの飯屋だな。かつてはこの前に市電が走っていて当時の写真が壁にかかっている。近づいてみると、撮影はなんと、誰か知らん人。一瞬、桑原甲子雄かなんて。。。な、わけないわいな。どうもこの飯屋は遊廓に遊びに行く男の腹ごしらえの店としてあったような。 五番町はほとんどまったくと言っていいほど、その面影は消失してしまっていた。夕子はどこに消えてしまったんだ! そうであったかなと思われる一画があったけれど、それとて夕霧楼のイメージとはほど遠い。さっき調べてみたら、どうもまだ残ってるようよ。 そして五番町の隣の千本京極へ。ここらになると、まだまだ猥雑感が残っている。シネフレンズ西陣なんて映画館も残っていて、だがどうもゲイ専門館になってるみたい。それはおいといてこういう映画館がいいなぁ、アンモニア臭そうで。こんな映画館で一日、3本立てを繰り返し見ては居眠ってたい。 さらに一条通を東へ堀川まで抜けると、一条戻り橋。が、いまはごくふつうになって、堀川は堀川で三面張りの排水路になりはててるし、どうでもよい。さらに安倍晴明神社、陰陽道が流行って若い女の子がちゃらちゃらやってきて陰陽道グッズを買うて行くのか。どうでもよいの極致。どうでもよいから、境内の砂にダビデの星を傘で描いてきたった。 思うに、魔界ったってね、世間には京都魔界巡りの類のガイドブックも出てるようだけど、魔界、魔界と騒ぎ過ぎなんだよ。ボクは霊なんて興味ないし、全く感じない(見離されてる)から。
またてくとこぽこぽこ歩くだけ歩いて、三条通りの商店街で、すぐきを買うて、さっさと大宮から阪急に乗りました。