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■2005/10/16 Sun■
平等院で背面人生を学ぶ
[
長年日記
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なんだかんだって言ったところで、結局のところETCつけたさ。そうだよ、夏に九州まで走るときにつけようと思ってたのに、ころっと忘れてて、池田のIC入る直前に思い出してやがんの。あの深夜割引っての、ETGつけてるのとつけてないので大違い。3割引だぞ。
ということでやっとのことでETCカードも来たので、つい阪神高速に入ってしまってるバカ。行くあてなどなんも考えてないのに、上ったからには目いっぱい走らないと損だとばかり、嗚呼ここいらあたり貧乏人根性丸出しですなぁ。それで守口まで走ってはみたものの、どこに行けばいいか、まだ考えてない。第一、きょうはナニを撮りたいんだい、と、そのアテもないままに、淀川の土手にでも上がってみるかとふいと横に入ってはみたものの、クルマ止めるとこあらへん。だいたいね、写真写しに出るのに、クルマで出たら止めるとこに困るってのは以前からわかってんのに、ああ、ETCよ。あ、そうそうETCはしゅっと入れて快適ね。というままに枚方を過ぎてしまった。
う〜ん、どうするべとまだ迷ってると、くらわんかの渋滞で、あ、くらわんかなんてもうとうにあらへんからどこかわからんか、う〜んと京田辺に抜ける307だったかの交差点よ。そのとっと手前で右折が空いてたもんだからふいと右折。ただただクルマをころがすだけ。う〜ん、ほんま困ったぞ。もう帰ったろかと思うてたら京田辺。
あうーっ、R24を左折。宇治でも行こかいねと、R24を逸れたら城陽の渋滞。ほんまここらあたりクルマころがしてもなぁ〜〜〜んもおもろくないぞ。あるのはお決まりのマクドやらガストやら、レンタルビデオやら、パチンコ屋だったり、日本国中どこ行っても同じ景色とは情けない。もうヤケクソで宇治に向かう。
JRの宇治駅前のPが空いてたのでさっと止めて、歩き出したら、やっぱり歩かなアカンでよ。ちょいとわざとらしい京都っぽく見せかけたたたみ2畳分くらいの布の看板の前にお姉ちゃんをゲット(あ、ナンパしたんじゃなくてシャッター切ったの)したところでやっと写真の気分になってきた。宇治橋通り商店街を歩きもって何枚かカシャカシャ。う〜ん、しかし宇治ゆうたところで平等院とってしもたら何もないし。だいたい拝観料払うて入ったところで、写真のネタにはあんまりようせんしと思いながらも、ほかに行くとこもない。よう考えたら平等院なんて小学校の遠足以来だかもう40年以上も前のことか。ここは今生の別れにちょいと入っておいてもよいか、なんせ極楽浄土だもんな。
ところが拝観券買うところに10数人並んでる。並んでまで入りとうもないと、ふらっと門のとこから中を覗いたら、券売ってるおばはんに呼び止められた。「拝観券お持ちですか」 しゃあないなあ、と、また最後尾に並んではみたものの、その列がほとんど進まん。もうええわいと、そこから立ち去る。
宇治川の土手に上がると、木立の合間から鳳凰堂が見える。なんや、わぁわぁ金払わんでもええやないかと思いながら、ずっと歩いて行くと、南門があって、こちらは誰も並んでいない。で、まぁほかにすることもないのでやっぱり入っとこかと、どっちやねん! すると、なんや係のおばはんが地図を見せながら説明しよる。この券ではこことここは入れるが鳳凰堂に入るにはさらに300円だかよこせ。この上にまだとろうってのかい、まったく、と、心の中でぶつくさぶつくさ仏草。 が、入ってみてですね、鳳凰堂はええんですよ、みんな素通りしてしまう白壁で止まってしまって、さらにほとんど誰もよってこない小さな庵の前のもみじの盆栽に目を奪われ、いや盆栽をポイントにしたシンプルなたたずまい、これこそ日本の美じゃないですか。え〜っとですね、ボクが入った南門は裏口なもんで、おばはんの指図通りに歩くと、まずは鳳凰堂の裏側にやってきてしまう。ああ、ここに来てまで裏道人生。が、ですね、正面から見るとちょうど西日がさしてきていて逆光なのに、裏から見ると阿弥陀の池に鳳凰堂が映ってええんですよ。なのになのに、みんなさっさと歩いて行ってしまうのはなにゆえに先を急ぐのか。
やっとのことで鳳凰堂の正面。誰も彼もが逆光にめげずにカメラを写す。全員、写真家ですよ。ボクはそんなアベックの後ろ姿を写す。ああどこまでもネガティブ人生、背面写真観。だって鳳凰堂を拝む人の前にまわってカメラを向けれないっしょ。ま、光り輝く鳳凰堂を正面から見たけりゃ10円玉見とけ。と、ぐるっと左手に回って行くと、鳳翔館なる展示の博物館に入ってしまう仕掛けになっとる。こういう展示場ってのは苦手なんだよなぁ。やはり野におけ菫草、ってね、ホンモノ鳳凰を鳳凰堂の上においといたら、ほれ、やっぱり酸性雨でやれちゃうでしょ。クルマの拝ガスで鳳凰が喘息を患ってしまうでしょ。あのじーーっと見入ってる人がねぃ、ども苦手なんすよ。
ところがだ、厚いガラスのケースに入ってるとはいえ、10cmの目の前で見る鳳凰はすごいんだわ。まさに火の鳥だ。いや、火の鳥をひきあいに出すのは鳳凰に失礼だ。じーーっと見入ってる人になってしまったじゃないの。まぁその場に1時間も立ちつくしてられないので、さっさと次行きましたが、その次は天空の城ラピュタ、いやそれも失礼だな。天空の、あれは何ですか? 20数体あったかな、これもガラスの向こうなんだが、とくにできのよろしいのは一つずつのケースに収めれて照明があてられている。その裏側に回って、ああまた背面攻撃、裏側からその影を見てごらんよ。正面から見るよりその影の曲線の美しさったらないんだから。
おー、これならさらに金払ってでも鳳凰堂の中を拝観させていただくべきだと、いやまさに極楽浄土なんですからね。そのさらなる拝観料徴収所にたどりつくと、「本日の受付けは終わりました」と立て札が。そしていままさに本日最終の一団が鳳凰堂にぞろぞろと入っていくところだった。
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