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■2003/08/02 Sat■  行ってきます [長年日記]

 なんだか、ほっといたらいつの間にか8月で2週間からここもほっちっち。この間、何もなかったかというとそうでもなくて、何かあったかというと、またそうでもないという、どうでもいいような日々が続いていたのです。そしてたぶんあしたは書かないでしょうから、これから先、また2週間以上、ここはほっちっちにしてしまうわけで、人間ちゃんとキリだけは付けとかないときまりが悪い。先に書いておきますと、あさって月曜からまる2週間の予定で、ヨーロッパに行くのですが、ひょっとしたらサンドニ街の裏で死んでしまうかもしれず、そうなるとこれが絶筆になる可能性もあるのです。だからちゃんとキリよくしておかないといけません。というわけで、くだくだと書くわけですが

 先週の日曜、つまり7/27に京都に横尾忠則展《横尾by ヨコオ》を見に行った。ある意味でボクにとって横尾というのは30年からのアイドルだったんだけれど、そのくせ横尾の作品の熱心なファンというわけでもなかった。ボクにとっては横尾は『新宿泥棒日記』の横尾であり続けたし、良くも悪くも『腰巻きお仙』に始まって『腰巻きお仙』に終わってしまってた。ここ1年ほどボクに余裕ができて、横尾の作品集なんかを集めまくったりしてはいたけれど、その中で触れるか、あるいはあちこちで目に触れるポスターの中でしか横尾じゃなかったんよね。実際に現物を目にすると、これは当然といえば当然なんだけれど、とくに横尾の絵画の質感なんてのは印刷されたものとは比べ物にならない。あゝ、今までそんな中で充足してしまってたのかって痛く思い知らされてしまった。やっぱり現物に勝るものはないやね。そういう意味で、あと数日後に目にするであろうカラヴァッジオにひどく期待してる。
 話は横尾に戻しますが、火曜日にはキャサリンも京都に見に行って、(変な夫婦でしょ、一緒に見に行けばいいのに)で、きょうその横尾展の話を二人でしてたんだけど、《作家蔵》と記された作品が非常に多いのね。これって横尾というのはかなりのナルシストじゃないかと思うわけ。自分の作品が愛おしくて手放したくないんじゃないかな。それからキャサリンが見に行ったときには、田舎のおばさんたちが来ていて、「わたしはどこにあるんだろ。○○さんは何ヶ所にもあるらしいんだけど」とか、どうも横尾の西脇時代の同窓生らしくて、その当時の顔写真がコラージュされてちりばめられてる。それだけでなく、ルーベンスの模写があったりして、《レウキッポスの娘たちの略奪》 これルーブルで見れるかと思ってたのに、ミュンヘンにオリジナルがあるんだね。とにかくおもしろくて興奮してしまった。キャサリンなんかは3時間近くかかって見てたらしいよ。

 それからここしばらくしてたことはヨーロッパ、とくにパリの街区の下調べ。ネットでmappyという、日本で言うとマピオンとかの地図サイトを見つけて、ばんばんプリントアウトしては繋ぎあわせた地図を見て、勝手に想像してた。ひょんなことから、《rue de Eugene Aget》 なんていう通りを見つけたときには大喜び。ここは絶対に行かなければ。《rue de Eugene Aget》で検索かけたわけでもなくて、ほんとに偶然だから、たまたまそのあたりの地図をモニターに出して見ていて、もっとも細かい地図に切り換えたときに、《rue de Eugene Aget》って出てきたのだ。まさにAgetが手招きしているかのよう。そのあたりを歩き回っていてもひょっとすると行き当たって、驚喜してるかもしれないけれど、偶然ってすごいなぁと思うわけ。さらに引っ張れば、「地球の歩き方」なんかのガイドブックを見ているだけでは、まず行き着いてなくて、それもたまたま『パリの裏道』という本を図書館で見つけたことに端を発している。それから『ライカ同盟パリ開放』から、パリの『郊外へ』という本を見つけたり、《rue de Malcel Duchamps》なんかも見つけ出したのを考えてみると、偶然とはいえ、そこにはかなりの必然も入り込んでいるなぁとつくづく思う。

 というわけで、行ってきます。また帰ってきたら、いっぱいいっぱい書くことが必然的にあると確信して。

 


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