ふーっ、前説が長いのだから、断っておきますが、まだ前説です(笑) だいたいひねくれもののボクは観光地というのは好きじゃなくて、その裏側というのをうろうろするのが好き。それでも観光地を侮っていたら痛い目くう。例えば、バルセロナのサクラダ・ファミリア。これって30年前のガイドブックにも書いてあったのかなぁ。30年前にバルセロナに行ったときは、ホテルが旧市街にあったせいか旧市街ばかりうろついていた。それからバリオ・チノに迷い込んで、ヤバいなぁと焦っていた。あとからわかったのはそのバリオ・チノのあたりにジャン・ジュネがうろついていたんだとか、それならもっとうろつけばよかったかなぁなんて。結局、今回はバリオ・チノには行かなかったけど。それと30年前にはガウディなんか誰も騒いでなかったぞ。一部の建築やアート関係の人間だけが知る人ぞ知るってところだったのに。30年前の無知と、ガイドブックをちゃんと読んでなかったせいで、ガウディ見たさに、今回のバルセロナ再訪ってことになったわけ。 バルセロナの旧市街あたりというのは、一歩入り込むと、洗濯物がぶらさがっていて、かなりどころか強烈に生活臭が漂う場所だったりする。ただ、この地域はカテドラルやローマ時代の城壁などがあって、観光地と背中合わせなわけで、そういう生活臭ぷんぷんするところに、異分子である旅行者が迷い込むことが多くて、そこの住人もけっこう慣れてしまっているようで、またアフォな旅行者が来よったぞくらいで済ませてくれる。ところがパリのベルビルあたりいなると、ごくまれにしか異分子が入ってこないので、をい、なんかけったいな旅行者が来よったぞって視線で、なかなか裏の方に入って行きづらかったりする。そんなに治安が悪いとかいう場所ではないから、裏のほうに入っても大丈夫なんだろうけれど、そこでちょっとした不安になるのは言葉の問題で、英語なんて通じると考えられないので、なんか言われたらどうしようという不安が先に立つ。たいてい、ボンジュールって言うとけば済むんだろうけどね。 ルードバックのちょっと入ったところで、教会の前に座ってるおっさんがいて、こっちをじろじろ見てる。そこで逃げの「ボンジュール」とやったら、おっさんが何やらフラ語で喋りだした。それでジロジロから回避できたのだけれど、わけのわからんフラ語でやとわかったのは「小銭くれ」だった。ようは物乞い。それはともかく、裏道を歩く世界共通の極意は「こんにちは」だね。目があったらぺこっとお辞儀しとくといい。 何はともあれ、旅行していて、行った先の生活が見えてこないとなんもおもしろくないのは確かなのだ。観光地を巡るだけの旅なんて。