どうも秋穂ちゃんとの調子がよろしくなかったの。きのうは重大な事件が起りましただとか脅かされ、きょうなんぞは荷風の記念碑を机の上に飾るとボクが言い出したら、ぷいっとグレーになってふくれっつらで固まってやがんの。どうせなぁ〜んもキミとのメモリなんか入ってないことだし、あ、メモリは512Mぶちこんではいますが、最初に出会いがいけなかったのね。ええかげんによその女とメッセしながらインサートやらかしてたんだもんね、ボクが悪いんです。ここは、えいやっ!と、そう
人生、初期化あるのみ
これって人生訓ですよねぇ〜。さて、初期化しようと思い立ったはいいけれど、どないして初期化するのか、非常に迷いました。人生初期化するのって、いとも簡単なんですよ、それが林檎の生きる道。どうも秋穂ちゃんはなかなか初期化させてくれないの。どこを探しても《人生初期化》というタームは出てこない。なんでもいいから、とにかくシステムの入ったCDをぶちこんで再起動してやると言うこと聞くだろうと。なんと《セットアップ》というんですねぇ。ところがなかなか、ハンコ押してくれんのですよ。いいのね、うん、いいよ、はい、ぽん! ご苦労さんでした。あとは好きにしてねぇ〜って、趣味にしてる御仁もおるってのにさ。 ね〜、もっぺん修復しましょうよ。ん?もうキミとは修復不可能だろ。じゃあ、あたしのことはこのままであなたは別におうちをもてばいいんじゃない。うん、それもいいかもしれない。と、うりゃああああ、8平米しかないじゃないか。キミ、キミをやねぇ、150000平米ものだだっ広い家においといてやねぇ、ボクがなんでこんな四畳半一間で新居を構えなアカンのよ。じゃあ、あたしともっぺんやりなおす。しゃあないなぁ、いっぺんだけやぞ。 と、渋々、人生修復につきあってやったんだよ。ところが、ごるあああああ、約束チャウヤンケ。人生修復の最中にまたそうしてダダこねる。ダダはですね、トリスタン・ツァラでしょーが。ダダこねるだけこねといて、 どう?まだ修復続けるのぉ? しゃあないやんけ、キミがやり直しましょうよって、あー、はい、わかりました、わかりました。修復続けますよ。 と、また、ちょっとしたら、ダダこねやがの。をい、ちょっと待て、usb.sysは修復できません? あ、あのなぁ、キミ、何を言うとんの。usb.sysなかったら、ボクは亀裸をどこにぶちこめばいいのよ。一生、usbレスで暮せってか。あー、わかりました、そういうことですね。はい、やっぱりボクはキミじゃなくて、ばっさり人生フォーマットしなおしましてですね、あ、いや、物理フォーマットはさすがに時間がかかるからカンニンしてもらって、論理フォーマットさせていただきます。じゃんっ!
こうして見事に秋穂チャンとの蜜月はわずか10日で終わりました。
早く、焼き直して送ってください。今度は秋穂ちゃんじゃなくて、千秋ちゃんがいいな。こないだ戴いたのはほとんどすべてアウトです_(業務連絡)_
貴女によって構成されたく存じます
ボクなんかがあのときはどうだったかとか言うても始まらないのだけれど。 とりあえず、地震が起こった時、とある事情でその時刻まで起きていて、直前に地響きのような音が聞こえたのを覚えている。次の瞬間に激しく揺れて、隣で寝ていたキャサリンにキャーと抱きつかれて、首筋を爪でひっかかれた。大慌てで本棚を支えに行ったんだけど、いま考えたらバカだな。本が何冊か飛び出していた。猫たちは腰を低くしておろおろかけずり回っていた。 あのときもボクなんかが、ああだこうだと論じたところで始まらないという感が強かったのだが、とにかく1週間ほどして、ようやく落ち着いてから、ボランティアにも行った。カメラはよう持っていかんかった。きのうtwitterで、《@me_sou: 違和感を感じたのは「傷ついている人たちにカメラを向けるなんて暴力的なことできない(意訳)」みたいなところ。写真ってのは相手が健康だろうと何だろうと本来そういう容赦のないものだろう。と思った…》これは然り。だが、このことでもそうなのだが、自分が記録しても始まらないし、記録すべき誰かが記録すればいいという思いの方が強かった。だから4月になって初めてカメラを持ち込んで、撮った時の元気になったおっちゃんの顔は今でも覚えている。その写真とネガはどこに行ったやらわからんけど。それと「長いことありがとう。神戸の春は釘煮で始まる。」ともらった釘煮は今でも一番美味しい釘煮だった。 瓦礫の中から連れ帰ったバタコはうちで10年ほど暮らして死んだ。あすからの「ローファイ写真展」にわざわざバタコの写真をセレクトしたわけでもないのに奇しくも展示しているのも何かの縁かもしれない。