航の中にいるようだと、最後に思った。私は限りなく沈んでいく。航の肩の皮膚の下で、彼の羽とともに、来るべき羽化の時を私は待つ。銀色の蝶のひとつが私の中に入って私になった。私は苦しくなかった。同じ瞬間に、ひときわ強い鼓動が脈打って、水面の蝶のすべてが、痛いくらい眩い光とともに放たれ飛んだのを見た。視界一面蝶で、蝶はあまりに数が多く重なり合っていて、なおかつ距離が近すぎたので最初蝶とはわからなかった。駝鳥のショール、せいぜいそんなものが想像の限界だったが、それらは生きてひとつひとつ独立して動いた。それぞれに、先を急ぎ天を指していた。彼らは大群をなし無数の羽で私の全身を撫で上げ押し上げる。目を閉じると世界は泡と化し自分もその一つになる。
もう疲れたわ なにを言うても限界が見えるし それ以上言うたらウソになるし さすがに冒険野郎もおしまいやわ