男子用トイレは、壁沿いに黄色く汚れた用便器が並び、反対側の大便所も、ドアがみな内側に開いた状態で、人の気配はまったくなかったからだ。 壮介は、割れた鏡の下に取りつけられた手洗い容器に両手をつき、先ほどまで繰りかえし起こった吐き気が、もう一度こみあげてくるのを待った。 だれもいないと思うから、声をだして吐く真似もしてみた。 かすかに胸のむかっきは残っているものの、もう、嘔吐感はもどってこなかった。 壮介は、変色した手洗いの中につばを吐くと、ついでのように小便器の前に立った。 くぐもった声を聞いたのはその時だった。 壮介は、じぶんにかけられた声だとは思わないから、ゆっくり用を足したあとズボンのファスナーを引きあげ、それから腕時計を見た。 始業時間になろうとしていた。 職場である『ライオン・ハウス』企画第二室の情景が、壮介には見える。 壮介の姿のない窓際の席をふりかえって、係長の瀬尾が眉をしかめている。 「課長がこの時間にきていないなんて、こりゃ雨になるぜ」 独身で、ネクタイやカラi・シャツに凝る牧が、お茶を配りだした若い女子社員にいっている。 企画第一室課長で、腰の軽い話好きの磯辺が、じぶんの部屋にはいる前、壮介の部屋をのぞき、調子のいい冗談を飛ばしているところかもしれない。
草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とは何ぞ
こんなことばを吐けるテラヤマはけだしすごい。そのことばの前に畏れ戦慄くばかりなり。 ところで「ほどほどに」というのはどういうことなんだい。別にボクに向かって発せられたわけやないんやけど、そうです、ボクに「ほどほどに」なんて言うても聞くわけないというの、よう知っとるもんねぇ。「エエ加減にしとき」だな、ボクに対しては(爆) あ、ひょっとしたら、これって大阪以外やとニュアンス伝わりにくいかもな。「ほどほど」というのはまだ限度を越えてへんもんに対してで、「エエ加減にせえ」というのは限度越えてて、見てるあたしゃもう不快よってときだな。まちがっても「エエ湯加減」とは明らかに異るのでよろしく。なにがやねん(^_^ゞ 話、元に戻りますが、「ほどほどに」というのね、「酒飲むのほどほどに」とか、「オナニーはほどほどにしましょう」というのね、これならボクもまだわかる。対象がモノやコトだけに。ところが対象がこと人間に対して、ずばり「女遊びはほどほどに」となるとボクには理解しがたいな。つまり、「まだ今なら取り返しつくで」という時でしょ。しかしなぁ、それって、ひじょーーーにバカにしとらん。自分は自分の領域だけ、つまり家庭は守るけれど、相手がそれを壊しにかかるのは絶対に許さんぞって、なんて身勝手な。そんなもん恋愛ちゃうでしょ。まぁ「ほどほどに」なんて言う奴は恋愛なんぞとは無縁なわけだし、それがボクに向けられたわけちゃうから、別にボクがむかついたりする必要はないんだけどさ。「ほどほどに」するんだったら、はなから恋愛なんぞせんといたらよろし。あ、してないか、そう言うた奴は。 むぅ、ちと、この話は天に向かって唾はいとるかなぁ。でも守りたくてほどほどにしとこなんて思うたことなんかないです。それだけは信じてよね。 それよか、 されば今夜六月の良夜なりとはいへ、 遠い物音が、心地よく風に送られてくるとはいへ、 なにがなし悲しい思ひであるのは、 消えたばかしの鐵橋の響音、 大河の、その鐵橋の上方に、空はぼんやりと石盤色であるのです。 なんぞと、せめてことばの海に溺れて、ぶくぶくぶくと、沈んで行くのが素敵。欲をいへば己のことばで語りたい。ことばはパッション。。。 ところで、きょうあたり筋肉痛ばりばり。おとついの瞬発力の無理強いが強烈にこたえてる。元々、赤い筋肉なんてないもんねぇ。そこへもってきてきのうのテニス。ちょっとやっぱり年を感じてしまって、きょうは風呂に温泉津の湯の花(バスクリンとかじゃなくてホンモノ)を入れてみた。気もちよか。しあわせ。