さて大阪製鋼所のスクラップ置き場はそれはすごくて、スチール缶を1m立方に押し固めたキューブがいくつも積み上がっていたり、何かの型を抜いたあとの廃材だったり、銅線、いや鉄線だったり、あれは何だろう、大きな風呂釜のような厚さが10cm近くある鉄の塊が茶色く錆びついて置かれてる(放置されてる)。それらに囲まれると、異空間に投げ込まれたようで夢中になってシャッターを押していた。 工場の裏手の人気のない道を歩いて行くと、今度はかつては文化住宅だった廃屋が目の前に現れた。もうたまりませんよ。朽ち、崩れた隙間からかつての生活の痕跡が覗いている。張り出したトイレの角などが崩れて、白いタイルなんかが見えたりする。人気のないことをいいことに侵入してやろうとしたのだが、誰かが無人なのをいいことに倉庫がわりにしてるのだろうか、中はぎっしりつまっていて入って行けない。まぁ良識あるオトナですからね、いくら無人になった廃屋といえども、権利者がいるわけで、立派に不法侵入になりますよ。廃墟が一種のブームにはなっているけれど、そうまでムキにならなくても写真なんかいくらでも写せる。必要以上に暴きたてる必要などない。 大正区を南北に縦貫するメインの通りに出る。殺風景を絵に描いたような風景で、とくに寒かったからますます殺風景。それとさっきまでの興奮が少し冷めてきて、どこかで軽く食べて、コーヒー休憩したくなった。何よりも手が冷たくてたまらないので、軍手を買う。100円。軍手をはめたままシャッターに触れると感触が違うのだか、そんなこと言うてられない。それとひとつの山場が過ぎ去って、写そうという衝動が引いていた。裏通りに入ってみたりしても、いまいちピンと響いてこなくなっていた。 というわけで、ちょっと寂しげなハンバーガーショップで休憩。マクドとかそういうのじゃなくて、おっちゃんとおばちゃんが二人でやっている小さな店。入ったときに他に客は誰もいない。なのに「1番の番号札でお待ちください」 てりやきバーガーに頬張りついていると、森山大道がしょっちゅうコンビニのおにぎりを食っているというのがよくわかる。何を食いたいとかは二の次になってしまうのだ。美味くもないハンバーガー。ただしポテトは熱いのが救い。 しばらくすると、アホみたいな高校生が入ってきた。やつらもだれもいないと思ったのか、ボクを見つけてぎょっとしておった。アホみたいと書いたけれど、真性のアホらしい。一人はフライドチキンを食いながらマンガを読んでいる。もう一人はオレンジジュースを飲みながら、フライドチキンに話しかける。チキンはほとんど生返事。ドラえもんおったらええなぁ。タイムマシンほしいねん。タイムマシンに乗って未来に行ったら、毎週出るの待ってんでも、いっぺんにマンガ読めるだろ。こんな話、人が聞いてたら(ちゃんと聞いてましたよ)、カッコ悪い(というのをやつらの専門用語で何か言ってたが聞き取れなかった)なぁ。あゝ、ちょっと情けない、だいぶ情けない。
うわっ、またまた長くなりすぎた。残りの256Mのうちの100Mも進んでない。続きはまたあした。ってほんまに書くのか。