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■2003/02/07 Fri■  『蒲団』のにおい [長年日記]

 アラーキーが田山花袋の『蒲団』のことをどこかにちらっと書いていたのを読んで、をーをーそうそうボクも読んでおかにゃなるまいと。単純でしょ。ボクの読書傾向というのは。その程度のものなのですワ。
 アラーキーが書いているということで、あ、そかそか、『蒲団』というのはおふとんのことで、おふとんの上でくんずほぐれつ……そうだよなぁ、だいたい学校時代に出てきた文学史なんてものは、高校生や中学生が読んだらいいです、なんてわけでないのだ。
 例えば『雪国』ね、あんなものは中学生の時に読んで、何がこんなものおもしろいのだと思った。我慢大会。文学史に出てくるのだから、それは名作なんだろう。ならば、文学少年たるには是非とも読んでおかねばなるめい。わかりません。だいたい純情可憐な良い子、しかも童貞のボクちゃんに「指がおぼえていた」などという表現がわかってたまるかい。
 で、『蒲団』であります。いざ、『蒲団』を読もうとしても、これがなかなか見つからない。試しに近くの本屋に行って、「田山花袋の『蒲団』ありますか?」と聞いてみ。あるわけないから。「なに、それ?」と言われるのが落ち。しからばBOOKOFF、と。ここはもうひとつ田山花袋、文学史などとは無縁の世界。谷崎潤一郎、三島由紀夫ですら見つけるに能わず。内田春菊なら腐るほどあります。が、ボクが行ったBOOKOFFには『田舎教師』が数冊並んでいたのだ。どうも読書感想文の課題とかになっているらしい。世の中には粋狂な国語の教師もおるものだ。この時代に高校生に『田舎教師』など読ませるかい。だから文学嫌い、本離れが起こるのだよ。まして『死霊』(埴谷)なんてもってのほかでしょ。あんなものはヒマでどうにもならん大学生が読めばいい。ボクも大学生六年もやっててヒマだったから読むには読んだけど(^_^ゞ
 あ、それでやね、ボクはハタと気がついた。BOOKOFFになくても、町の本屋になくても、青空文庫にあるじゃないか。しかもタダ。青空文庫さんありがとう、金沢文子さんHくさい。さっそくパームにぶちこんで、テーブルに足上げて読み始めてはみたけれど、どうも気分が出ない。しょせん、ボクも古い人間なんですね。やっぱり本でなきゃ。いくらジョグダイアルをくりっくり回せてもなんです。
 というわけで必死のパッチで、BOOKOFFをさがしたら、ありました。日本文学全集《国木田独歩、岩野泡鳴、伊藤左千夫、田山花袋、近松秋江、正宗白鳥》錚々たる名前が並んでおるねぃ。をー、『野菊の墓』じゃんか、二度と読みたくない。でも、いいじゃん、いいじゃん、『牛肉と馬鈴薯』ありーの、ん?『牛部屋の臭い』ってなんだんねん。でもいいじゃん、いいじゃん、100円だもん。

 「これで自分と彼女との関係は一段落を告げた。三十六にもなって、子供も三人あって、あんなことを考えたかと思うと、馬鹿馬鹿しくなる。けれど……けれど……」

 をー、こりゃ、不倫の話じゃんかよ。なるほど、三十六の妻子持ちの男が、若い女に「せん、せんせ」と言わせて、おふとんの上で....なるほど文学史というものはエロいのだ。すべからく文学史に登場する作品というのはエロいのだ。ふむふむ、なになに、□□□□□で○○○して□□□□□□□□□だから○○○○○○になって、△△△△の□□□が○○○○○○○となるから□□□ をー、そういうわけで『蒲団』なのね、若い女の匂いがする、くんくんくんと嗅ぎまくった男、知っております。キミだよ、キミ。ボクではありません。
 やっぱり上手いねぇ、文章。いまのどこぞの売文屋みたく、すこすこでなくみっちりつまって、しかも小さい活字で上下二段。ぎゃふん。

 「時雄の其の夜の煩悶は非常であった。欺かれたと思うと、業が煮えて為方がない。否、芳子の霊と肉?其の全部を一書生に奪われながら、兎に角其の恋に就いて真面目に尽したかと思うと腹が立つ」

 いいねぇ、このねちねちした文体。有無を言わせないんだよなぁ。されど文学史なのであった。

 


 


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