これこれ、ほんとにキミは....(^◇^;) というわけで、きょうは枚方、橋本、中書島、伏見橦木町。つい1週間ほど前に貝塚近木で、きのうおとといが飛田だから、まさに廓めぐりでしょうが。これが50年から前で全部上がってたらまさに豪チンってとこなのにねぇ。 まずは枚方。せっかく枚方なんだからTを呼びだしてやった。木村聡著の『赤線跡を歩く』(ちくま文庫)の枚方の記述は「枚方新地のあったのは現在の枚方公園駅の近くだった」となんとも頼りない。Tに「赤線どこにあったんじゃい」と聞くと、「あ、それやったら、こっちのほうちゃう」と連れていかれたのは鍵屋なんとかという旧街道の街並みを保存して資料館にしているところ。つまらん!どうもわざわざ作ったというのはおもしろくないんだよ。全くピクリとも琴線がふるえない。ファインダーをのぞく気にも、ましてシャッター押す気にもならないのだよ。とかいいながらノーファインダーで写してはみたけど、やっぱり気が乗ってない写真はつまらんわ。文化財の保存というのも大事だけれど、これ見なさいとばかりに並べ立てられるとぞっとする。そのまま街道に沿って歩いて枚方市駅が近くなってきたので、これはちがうと引き返す。 路地裏で箱にこびりついたカスをこそいでるじいちゃんに 「廓ってどこにあったん?」と聞くと、 「廓?そんなもんあらへんぞ」 「あ、せやなしに、昔やんか、昔の廓の跡、どこらへんにあるん?」 と聞き返すとやっと通じたらしく、なんやかんや説明してくれたんだけど、わかったようでようわからん。なんでも桜新町とか言う。それにしても、今の時代に廓があったらやばいがな。言われたほうに適当に歩いては見たが、やっぱりない。新興住宅地元民Tもまったく頼りにならへんで、もう一度言われたほうにとって返すと、やっとのことで『赤線跡〜』に掲載されてる旅館玉光があった。なんやここなら、ほんますぐ近くを何度も何度も通ってるやないの。あるにはあった。とりあえず枚方新地は確認する程度のこと。あ、ここもそやなと、元来上流の(今はどうか知らんが)Tに説明してやる。赤線建築というのは和洋折衷アールデコなのでアール。 Tと別れて、一人橋本へ。ここはもっとさっさと来ておくべきだったのに伸ばし伸ばししているうちに、なかば廃園巡りに。かつてあったステンドグラスの円窓がある家はもう跡形もなくなってしまっていた。この消え行く美が美なのだよ。博物館に収まりきっているのは、剥製の猫を見ているようでなんとも悲しい。ときにはじゃれついて来もすれば、ふいっと姿を消してしまう野良猫にこそ美はあるべきだな。しかし橋本のメインストリートはかなりそのたたずまいが残っている。廃園と廓を同時に楽しみたければ橋本だナ。 『赤線跡〜』と比較してみると、ひたすらに廃滅の道をつき進んでおるよ。『赤線跡〜』の取材はたぶん95年ころ。ボクが知ってるのはその少し前からだけれど、『赤線跡〜』ではすでに朽ちかけている。が、きょう現在、その廃滅は加速度的に進行して見るも無残な状態になってきている。例えば、P198にある廃墟に残る床のタイルだが、周囲からどんどん雑草の侵食を受け、写真と比較すると、面積的に1/4ほどになってしまっていた。なんとも言い様がないけれどそれはそれで仕方がない。すべては滅び去る。 つぎ、中書島。中書島の駅からまっすぐ寺田屋をめざしてもなぁ。酒蔵を目指してもなぁ。酒蔵の真っ白い壁を見てもまさに白々しいだけ。いちおう写してはみたけれど気が無いから激しいブレ。こういうの写すのにアレブレボケではしょうがないもんな。さっさと削除。一度くらい寺田屋で柱に残った刀瑕を見ておくのも一興だけれど、ボクはすでに見たことあるし、いまは興味ないから、さっさとパスして、寺田屋の横手の方の古びた和菓子屋で、おはぎと草もちを買って歩きながらぱくつく。お昼まだ食べてなかったのだ。柳町の路地裏に戻ると、あった、あった。自分が写してきた写真と、石内都の『連夜の街』の同じ建物の写真を見比べる。う、うまい! ボクなんか足もとにも及びませんって。さすが木村伊兵衛賞だわ。でもよく見比べたら石内都のは30年前で、様々な色のはめ殺しガラス状になっているのに、いま現在は新建材に貼り替えられてるのだから、最初から勝負ついてるよなもんだけどナ。別に勝負しようなんて大それたことは考えてませんが。ちなみに『赤線跡〜』のほうはどっちかというとガイドブックの性格が強いから写真はそうたいしたことないです。 橦木町。これは『赤線跡〜』にはその存在だけが書かれてあってはっきりどことは書かれてない。それで道路地図で必死にさがした。もう諦めかけたころ、ふっと橦木町の文字が。中書島から竹田街道を上がってJRの伏見の駅のすぐそば。行ってみて、はじめて気がついた。A級伏見のとこじゃないですか。が、ここは《橦木町入り口》と彫られた大門の石柱が残っているわりにこれといった建物が全くない。代わりに、《大石良雄遊興之地よろづや》の石碑があってもうれしくないやないの。しかしここで遊女相手にはめ狂って討ち入りもへったくれもないと思うのだがね。たぶんここで既にご乱心してたのでしょ。 はーっ、やっとおしまい、と思うでしょ。何となく中書島に心残りがあって帰りにもう一度車を下りて歩いてみた。するとP193のガレージ奥というやつね、さっきのときはガレージに車が入っていて奥まで覗き込むこともできなかったのだが、今は車が出て行ってた。しめしめとこっそりガレージに踏み込んで真っ暗な中、適当に見当をつけてフラッシュばしっ! ごめんなさい。不法侵入で訴えられても文句言えないです。 と、なんか楽しそうに書いてはいるけど、実際ガイドブック見て、その確認してたっておもしろくないね。なんて言いながらしっかり「むふふ」な物も見いだしてるから