ところで、とある日記の4.24/04に、「手垢のついた本を一冊頂戴」と記されてあったので、そう耳元で囁かれもしていないのに、ついボクなら、どんなんかなぁと考えてみたった(大きなお世話)。 「手垢のついた」という部分を強調するなら、やっぱり団鬼六『花と蛇』となるんでしょうかねぇ。ひょっとしたら手垢だけでなく、なんだ?この染みは(くんくん) あ、頂戴と仰ってるのは女性でした。別に女性に『花と蛇』をあげても、当節、支障はないんでしょうが、やっぱりこの筋のものは密やかに愉しんでナンボだからペケ。 ボクの蔵書でもっとも高価なのは『潮騒』初版(と、実は自慢してるのでありますが)。いま話題の父親のをパクったのだよ。したがってここに残されてるのは父子二代にわたる手垢で、それももうすでに30年はゆうに経過しているので、手垢はすでに化石化してしまっている。それ故にこれもペケ。はは、単に自慢するためにだけ書いてみたった。 三島が出てきたついでに、う〜んこれあたりは、ほんとに頂戴と言われたら(メール出して来ないでください)、もっともその要求にはまるんでしょうが、実は負けず劣らずの所有欲があって、四巻揃ってるしねぇ、これ手元からなくなったらと思うと辛いのよ。あげてしまって文庫で買い直せばいいじゃんと言われても、これは文庫はダメです。新かな表記だから。あ、一冊ね、これ四冊だから、ダメ、ダメ(笑) そうだなぁ、やっぱり相手が女性なんだから、詠美あたりで攻めて、と机の回りを見渡したところエエのがあった。『ひざまずいて足をお舐め』 これだな! 「はい、これ、ボクからのプレゼント」と言った瞬間に、「奴隷が何かっこつけてんだい!」と鞭が飛んできそうでやばすぎる。したがってこれもペケ。 だいたいやねぇ、そういうふうにおねだりされたら、やっぱりボクの思い入れがこもったんでないといけないでしょ。それにここ数年の間の手垢でないとね、そう考えると、はたと困る。いわゆるベストセラーってのはほとんど読まないし、最近だと中上健次だったりして、その中上は図書館で借りたしねぇ。そして思い入れという基準を考えたら、どうしても30年から以前の、それも純文学になってしまうので、きっと口に合わないだろうなぁ。困った… って、よく考えれば、なんもボクが困ることもない話なのだった。