日記(正しくは個人がその内面を書き記した日記)をつけること自体、あるいはそれを公刊さえすることを、近代精神の《病》と呼んだポール・ブルジェ (中略) ある種の人々にとって、日記はただ毎日つけるだけでは十分ではない。それを繰り返し読み、かつ意見を追加してゆかなければいけないのだ。再読と記述の追加とは、日記を書くという行為の何か本質的な部分につながっている。
日記は、あらゆる保存装置のうちでもっとも完全なあるいは忠実な、ということはもっとも不幸な装置になってしまった。
一見したところ苦渋にみちてはいるが、それでも他の何ものにも換えがたい楽しみであったにちがいない。