そして
海色月というのは五月の古名だが、さながらこの季節には、海はその青をつかの間の空に譲って、この音楽堂には、怒涛のような終曲が青一色にうねりあがり、絶え間なく落ちかかってくるように思われる。中井英夫 『白い夕映え』