酔芙蓉というのは実際にあって、朝に白い花をつけていたのに、夕には赤く色づいている、それがまるで酒に酔って赤くなったようなので酔芙蓉と。いいねぇ、こういうネーミングを粋というんだね。さて夏芙蓉
体をよこたえたままその礼如さんの写真を見て手を組んでオリュウノオバは「おおきに、有難うございます」と声にならない声でつぶやき、あらためて家に入ってくる夏芙蓉のにおいをかぎ、自分にも夏芙蓉のような白粉のにおいを立てていた若い時分があったのだと思って一人微笑んだ。中上健次『千年の愉楽』
あ、あと2つ、書こうと思ってたことがあるけど、それは、お取り置きしておくことにしよ。