うつせみ【空蝉】 〔「うつしおみ」の転。「うつそみ」とも。「空蝉」は当て字〕(1)(ア)この世の人。生きている人間。「?と思ひし妹が玉かぎるほのかにだにも見えなく思へば/万葉{二一◯}」(イ)人間の生きているこの世。現世。世間。「?はもの思(モ)ひ繁し/万葉{四一八九}」 (2)〔「空蝉」「虚蝉」と表記したところから〕(ア)蝉のぬけ殻。[季]夏。「?の身をかへてける木の下に猶人がらのなつかしきかな/源氏{空蝉}」(イ)蝉。「夏は?なきくらし秋はしぐれにそでをかし/古今{雑体}」
お嬢様と話をしていると、急に「奥さんに指輪買うたげたことある?」と聞く。何をまた聞きだすねんと思うたら「友達が彼氏に3万もする指輪買うてもらいやって、そんなん別れたらイヤやんなぁ。別れたらその指輪どうすんねんやろ」 ふっと何かの映画で指輪を海に向かって投げ捨てるシーンがあったなぁと思いながら「そんなもんほってしまうんちゃうか」 う〜ん、3万もする指輪を買うたるかぁ。それもまともな稼ぎもないお坊っちゃまがいくらラブラブだからって3万もする指輪。高い、安いの問題じゃないんだよなぁ。確かに稼ぎのないお坊っちゃまが3万も出すということにアホくささをおぼえるけど。「3万の指輪って、ブルガリ? あ、ブルガリならもっと高いか」「カルチェ」 けっ、なんか貧しさを感じてしまう。それが買えるから、買えないから、貧しいのでなくて、カルチェだから3万も出すという愛の表現の仕方にとてつもなく貧しく感じてしまう。 そんなカルチェよりずっと高い指輪を買ってやったことあるけどね、「なんぼしたん?」と聞かれて、まともに値段を言うておこられた。「なんでそんな高いのん買うん?」そのくせちゃっかりその指輪と同じデザインのシルバーの指輪を作ってもらってきてた。その高ぁ〜い指輪と2本挿しにするとますますかっこよくなった。
閑話休題(←文化庁「国語に関する世論調査」参照)。あまりのバカばっかやってる加減からか、その女子高生に
「悩みないん?」
と聞かれたのです。このことはどういうわけだかよく覚えていて(その女子高生の名前すら忘れてしまってるというのに)、さて当時のボクは何と答えたと思う。
「悩んでいる余裕なんかない」
ウソです。しっかり悩みはあったさ。でもそのような悩みを誰彼となくひけらかすほど趣味悪くないんだよっ。その女子高生の前で悩ましく見せるなんて、自分のポリシーに合わないんだよ。でもときには泣きを見せてしまうことだって。あ、いや、いまはそんな話じゃなかった。
《 私は人の幸せが嫌いだ。順風満帆に見えるヤツは、見ているとムカついてくる。》
この年齢にまでなると、順風満帆に生きてる奴ってのは必ずいるもんで、そいつらの顔を見ているとムカムカしてくんだよっ。やつらは社交辞令のごとくに
「やぁ、ひさしぶりだねぇ。どうしてるんだい?」
と聞いてくる。それは自分の順風満帆を開陳するための枕詞。をー、そうかい、そうかい。どうせ、あんたらから見たら、ボクなんて負け組でしょうが。だけども、オレから見たら、あんたみたいなヤツこそ負け組なんだよ。そうしてそういうヤツに限って、得意げに悩みを語って(騙って)聞かせるのだ。悪趣味だな。 うはっ、全然、コメントになっとらんか。支離滅裂なまま、いつかまた続く。
酔芙蓉というのは実際にあって、朝に白い花をつけていたのに、夕には赤く色づいている、それがまるで酒に酔って赤くなったようなので酔芙蓉と。いいねぇ、こういうネーミングを粋というんだね。さて夏芙蓉
体をよこたえたままその礼如さんの写真を見て手を組んでオリュウノオバは「おおきに、有難うございます」と声にならない声でつぶやき、あらためて家に入ってくる夏芙蓉のにおいをかぎ、自分にも夏芙蓉のような白粉のにおいを立てていた若い時分があったのだと思って一人微笑んだ。中上健次『千年の愉楽』
あ、あと2つ、書こうと思ってたことがあるけど、それは、お取り置きしておくことにしよ。