恋しくば 尋ね来てみよ 和泉なる 信太の森の うらみ葛の葉
と歌を残して消え去っていったかの葛の葉の白狐と安倍保名との間にできた子が、をー、なんといまをときめく安倍晴明だったとは。しかし陰陽師・安倍晴明のフランチャイズであるところの京都の晴明神社がかくのごとくに繁栄というべきか、ミーハー化しているのに関わらず、この葛の葉神社の静かなことよのぉ。陰陽師と騒ぐお姉ちゃんたちよ、京都の晴明神社できゃひ〜んと騒いでるだけで終わってしまうのね。陰陽師・安倍晴明というサイトには、きっちり大阪の安倍晴明神社も葛葉神社も記されてたけど、そこまで調べてやってくる女の子ってのはかなりコアな人なんでしょね。ほとんどが映画の『陰陽師』で騒いでるだけでしょ。ボクはほとんど興味ないです。別に今に始まったことでなく不思議でも何でもないですけど。でも晴明神社の喧騒も去年あたりで終わってしまってんじゃないの。いまや、陰陽師やなくて、細木和子やドクターコパの時代ですものねぇ。ちなみにこの葛の葉の白狐の伝説には部落差別が関わってます。 そしてずんずん歩いてボク的にコアな地域にさしかかって、う〜んと、そうここでは『後ろ姿』という話を書きかけたんだとか、いろいろあったのだが、はい、過去の話です。小雪が舞っていたのも過去の話で、きょうはぽかぽかあったかい。 で、2時間近く、本来の目的のことがあって、帰りは帰りでまたてくとこてくとこ。実際に歩いてたのは2時間ほど。早春の一日。
夜はアカレコ・ニャー様のシークレットライブって感じ。が、まんちゃんのギターのせんせは来るわ、にゃー姫のボーカルの先生は来るわ、もう大変で、あれ緊張するなと言うても緊張するわいなぁ。いつもとちがって、あとどこでもドアでやってきたと言うトニーヤングの3人でのアコースティックライブ。アレンジなんかもちょっと違ったりしていて、そそ、『ウバタマの夜』ん?タイトルこれでよかったのか? まぁいいや、あの途中で歌詞がぎちぎちに詰まったとこあるんだよな、そこんとこニャー様のカツゼツの良さったら。ちゅうわけでたっぷり1時間の2人にとっては大汗ライブ終了。 が、ここからが大変。そのあとがカジャさんですよ。しかもギターがまんちゃんのギターの先生、Yah-Do!の道祖先生。「うりゃああああ、まんしろ、ギターとはこないに弾くのじゃああああ」ってな調子。テクニックちゅうかね、そう専門的なことわかりませんですがね、高いとこを弾いてる分にはごまかしが効くってもんよ、派手だから。そっから低音に移ったときの音の響きがすげーっての。ちょ、ちょっとびびりまくり。プラス、ヴァイオリンのQちゃんに、通しで出ずっぱりのトニーヤングの4人でこんだけの音出すかって。とにかく音が厚いの。 アカレコ様には悪いが、それは彼らも認めたはるやろけど、インディーズとプロの差ってこれくらいあるかってものでつ。 あ、そうそう、ニャー様のボーカルのHiroco先生(よう考えたら、先生2人のユニットがYah-Do!なんやワ)も途中で2曲ほど飛び入りで入って、「をらをら、しゃべってるときより、歌うてるときのほうがでかい声出せよ!」ってなパワフルなボーカル。で、そこにふっと哀愁がこもった響きが入ってね、わたくし、去年の夏にスペイン行ったときにフラメンコの女の人のボーカルをふっと思いだしてたのね。そのことを帰り際にHiroco先生に話したら、「フラメンコのボーカルはむちゃくちゃエネルギーが要って、とてもとても」 いやぁー、今回のライブはお得。ときどきライダーキャットとか、気に入ったバンドが出てきたりするけど、だいたいにおいてアカレコだけで1500円みたいなもんでしょ。今回はアカレコはタダみたいなもん。じっくりカジャさん聞けて、それにボブ・マーリーでいっちゃん好きな『No Woman, Nop Cry』まで聞くことができて、たったの2500円。
外に出ると、春の雨が。一雨ごとに暖かくなっていく。 と、後半はアカレコの誰かさんのコラム用ですワ。
「フサさんを見たときから、俺も、色の白い手じゃねと思たんじゃ」 男がそう言ったのではなくフサが眼にしたその川と森がフサの耳そばで物を言ったようで、男の熱い手がフサの手をつかみ、草の葉の手ざわりを確かめるように男の石のように硬い指が掌をこするのを感じる度に、呼吸がひとつずつ苦しく狭まってくる。
フサの胸元をはだけにかかった男の手が服の上からあたる度に、硬くなった乳首を男に知られてしまうようで羞かしかったし、男の荒い息が耳にあたるのが苦しくて眼に涙さえあふれてしまうのだった。はだけられた胸に手がさしのべられ、乳房が男の熱い手の中にすっぽりつつまれるので息が出来ず、フサは抗いでもするように濃い息をたて、男の胸に救けてくれと言うように顔をよせて、坐ったままでいる事が出来ず崩れた。 男がフサの体を支えて唇を吸いながら畳に横たえた。 長い間、そんな硬い体に、よりどころない風に吹かれてしまうようなフサを押えつけてしっかりと力をこめて抱きとめてほしいと思っていたような気がし、なにもかも見せてやるというように素裸になった男を見つめた。男はその体そのものが業苦だというように「ほれ」と背中の刺青を見せ、昏い眼のままフサの体を抱き起こすようにしてのしかかる。 男の体は火のように熱く、男の手がフサの足を起こし、フサの唇いっぱいに差し込まれる舌のように男が入って来ただけで体が急激にほてり、ちりちりと火を噴き出し、フサは男の背につめを立てた。息が詰まり、声をあげる事も出来ず、男が腹の筋肉をこすりつけるようにゆっくり動きはじめるのをやめてほしいと思いながら、体中が一気に裂けてしまう。男の背にたてたつめに力をこめた。 男は力が抜けてしまったそのフサの顔を見て笑みを浮かべ、それからまた舌をフサに吸えというように唇をこすりつける。男が動く度にフサは声を荒げた。男の呼吸の音に誘われるように、フサの体の中にいまもう一人、男に合わせて身を動かしている柔らかい色の白い女が息づきはじめている気になりながら、男にきかせるように声をたてた。 男は果てる事がないように体そのものが苦しいようにフサを愛撫した。 長い事、素裸のまま抱き合っていたのは自分にもその男への恋慕があったからだと、男がまだ裸のまま板戸をあけて「食い物を持って来てくれ」と頼んでからフサは思った。十五の齢で勝一郎を知ってから、勝一郎以外の男を体に受け入れるとは思いもつかなかったので、刺青の背中に汗をかき素裸のままかまわず酒を飲みはじめた男を、出会ったときから好きだったのだと思い込んだ。