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■2004/09/26 Sun■  ♪〜片隅で聞いていたボブ・ディラン [長年日記]

ってなにがボブ・ディランやねんとへそを曲げていたのは、その当時のことで、『学生街の喫茶店』で一番それらしいと思っていたのは、百万遍の駸々堂だった。別に駸々堂でボブ・ディランがかかっていたわけでなくて、たしかあそこは音がかかっていたという記憶がない。ディランがかかってるとしたら出町のほんやら洞だろ。イメージ的に喫茶店と京都が結びつくのも変だけど、それはそれで意味があるかもな。
学生時代を札幌で過ごしていたボクにとって、喫茶店というと19条にあった「オニオン」で玉ねぎ顔のまきえさんがやっていて、毎週、交換を通した長距離の電話をかけに行ってたのもオニオンだったし、上村一夫の『同棲時代』を毎週必死になって読んだのもこのオニオンだった。『あしたのジョー』はどういうわけか、オニオンじゃなくて、クラ館下のエルムのほう。たぶんに『同棲時代』がオニオンにつながってしまうのは、店にやってくるまきえさんにみなが話を聞いてもらいにやってくるからだったんじゃないか。ところが彼女がいろんな人のことを知り過ぎていると感じだしたころからぷっつり行かなくなってしまった。誰がどうしたこうしたという話に嫌気がさしてきたのも事実。ある種のコミュニィティーという雰囲気だったんでしょ。だから、まぁその当時、誰もが議論好きなんだけど、ちょこちょこああでもない、こうでもないと、言い合ってるのがいたりもした。まさに時代ですなぁ。
もうひとつ喫茶店というと、ジャズ喫茶。デビューは道頓堀の5Spotだったけど、このジャズ喫茶でいちばんよく行ったのが札幌東映の横のジャマイカ。ジャズ喫茶の雰囲気ってのははじめちょっと不良っぽかったりして憧れみたいなものもあった。暗い目の照明の中で、当然のことながら相席で、オニオンとは逆にまったくそこにやってくる関係性は断ち切られていた。音によって、個々人の空間が確保されていて、その中でボクは主に読書と睡眠に励んでいた。よくあの暗さの中で本を読んでいて目が悪くならなかったのか不思議だよ。

どうしてこんなことを書き出したかというと、いわゆる喫茶店というのが衰退して、スタバやドトールなどに変ってきた。それは…という話をどこかで少し前に読んだから。
すべてにおいてシステム化して、コーヒー一杯の単価を安くする。その時点で、コーヒーは単なるモノとして扱われてしまって、その後ろにあるものが切り捨てられた。それはコーヒーに限ったことでなく寿司でもそう。そして本もブクオフのように単なるリサイクル品としてしか存在しなくなった。
それだけじゃない、人間そのものもシステム化され単なる労働力だけを吸い取られ、背後にあるものは置き去りにされているじゃないか。
一見、それはしごく真当で、合理的である。が、それは企業や経営者にとってだけの合理性の追及であって、ボクたちの側にとっては合理的でもなんでもない。遅かれ早かれ、そうして突き進んだツケがやってくるだろう。行き着くところまで行けばいい。必ずその反動はやってくる。ボクはそういう日が来るのを楽しみにしている。




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