トップ «前の日記(■2005/03/21 Mon■ ) 最新 次の日記(■2005/04/18 Mon■ )» 編集

うらまご/まごまご日記/まごっと/まごれびゅ/P-FUNK/maggot

2005年
4月
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
1997|09|10|11|12|
1998|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
1999|07|08|09|11|12|
2000|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2001|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2002|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2003|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|09|10|
2006|01|04|06|07|08|12|
2007|06|07|10|
2009|12|
2010|01|02|04|09|10|12|
2014|05|
2016|08|

■2005/04/06 Wed■  MUSE meets the GOD of photography. [長年日記]

あらあら、あははと笑ってごまかせ。勝手に逃げろ、人生だなんてゴダールしてます。
えっとですね、神戸行ったの書いたの、2週間ちょい前でしょ。それから遊び呆けてたわけではなくて、ひたすら写真してたの。伊勢にも行ったし、伊勢から大阪通り越して琴平までなんてわけのわからんこともやってのけて、もう足が棒になるくらいまで歩きに歩いたさ。老人の散歩などというのは赤瀬川原平にまかせておけばいいのであって、あらら、赤瀬川なんて呼び捨てにしてしまってる、この散歩はアグレッシブですよ。きのうも京都へ行ったはいいものの、伏見稲荷から三条河原町まで歩いて、そこからさらに清水の舞台まで歩いてんだから、誰か褒めてやってください。
さてきのうのことですが、祇園ですね。祇園で舞妓さんが歩いてるのを撮りましたよ。ってのはウソ八百。そこらのぶっさいねーちゃんがだいたい白川あたりで舞妓さんの格好させてもらって、記念撮影やってるのを、横から一生懸命、携帯で写してるなんてことほどつまらないものはないと以前にもそれは書いたかな。ところがです、知ってましたか、祇園にも甲乙があって、白川あたりは乙ですね。一力の裏手あたりが甲部で一見さんでは上がれないと来たもんだ。ボクなんてどう転んだところで無理無理無理。その甲部で、まぁしゃらしゃらと写真撮ってる分には可愛いもんです。そこでね、角っこにええ年こいたおっさんカメラマンが3,4人、そろいもそろって肩からカメラバックさげて、首にはニコンでしょね、きっと、ニコンのF4とちゃうやろか。どうせ、その連中と来たらそれしか知らないから。それに200mmくらいのレンズつけて。こっちはもうすり切れたデジカメ右手に、ただしいちおう左のポケットにはコンタックスはしのばせてるんだけど、うりゃツァイスレンズじゃあってもんです。そのおっさんらから見ると、ボクがあんたら携帯のカメラで何写しまんねんと思うてんのと同じように思うとるんだろうな。ほっとけ。そのおっさんらの前を、アホか、こいつらと、見下しながら通り過ぎたら、10mも行かないところに西陽うをいっぱいに浴びた五辧の椿が。ほんまあのおっさんらこんあすごいもんがあるのに、どこに目えつけとんのじゃい。でや!
と、その後ろでおっさんらが急に色めきだったのだ。な、なんと、芸者のお姉さんが登場。な、なんと、このおっさんら、芸者のおねえさんの出待ちかい。確かに白川のにせ舞妓を一生懸命写すのとは格がちがいますわ。あ、格がちがうのは、その芸者のお姉さんと白川にせ舞妓か。一斉におっさんらの首からさがっていたニコンが芸者のおねえさんに向けられる。その光景たるや、情けないったらありゃしない。あのな、それほどまでしてお姉さん写したかったら、揚げなはれ。して、芸者のお姉さんたるや、これはもう堂々たるもんで、そのおっさんらのレンズにひるむこともなく、そこらの蝿が飛んでるのと同じなんでしょ、しゃらりしゃらりと、花見小路のほうに歩いて行く。その後ろをわらわらと追いかけて、なおも後ろからシャッター切るニコンおやじ。あまりの情けない光景を後ろから冷ややかに撮っているのはボク。そして一段落したところで、おっさんらの前を侮蔑のまなざしで通り過ぎたあと、前を行く赤いマフラーのギャルがかわいいじゃないのと歩きながら後ろから撮ってるのはデジカメおっさんのボクなのでした。

そのあと花見小路に出て一力の犬走りに落ちるお決まりの自分の影を撮って遊んで、ぷらぷらと歩く。次の角まで来たところ、なんとまた芸者のお姉さん(さっきのお姉さんとはちがう)が一人でボクのほうに向かって辻を歩いて来るじゃんか。そこにはニコンくそおやじもいない。瞬間的に正面から芸者お姉さんにカメラを構えてしまうボク。名誉のために言うておきますが、ボクは出待ちなどしとりませんですよ。あくまで偶然。こちらに向かってしゃなりしゃなりと歩いて来る。さすがプロの中のプロです。こんなこと風俗嬢にやってごらんよ。比べたらあきませんか。まったくボクのカメラなど意に介せず、しゃきと前を向いたまま近づいてくる。できる限りひっぱりましたよ。ここはね、ファインダーを通しての一対一の対決ですよ。そしてその勝負はっていうと、ボクの完敗。ニコンなら連続シャッターやっちゃってんでしょうね。そして露出とかばっちり測定済みなんでしょ。ボクなんて、わたしにも写せますに毛のはえたデジカメで、お姉さんに勝負挑んでんだから。あー、でもこの緊張感ってたまらんかったなぁ。はっきり言うときますとね、いい加減なボクはだいたいにおいてプログラムモードで撮っちゃってるもんだから、お姉さんの歩いてきた辻は日が陰っていて、F=4.8の1/30秒。そこにおねえさんはこちらに向かってくる。おまけにAFだ。そうでなくとも、反応の鈍いデジカメのAFだ。ちょっと落ち着いてれば、あらかじめ、そこと位置を決めて、ピントあわせとけばいいものを。だから完敗なんだって。あ、芸者おねえさんにね。ニコンくそおやじになんかどう転んだところで負けません。
ところがだ、ボクには写神がついている。芸者お姉さんはボクの立っていた角を曲がって花見小路の方に歩いて行く。はっと気がついて、後ろから一枚。そうボクは何も考えていない。芸者お姉さんはボクの前を通り過ぎた瞬間にミューズに変身していた。そして、出たっ、写神! どうしてそんなところにミューズを手招きするように立っているのだ。一力の赤壁にくっきりとはえる白い衣装で立っているのだ。
興奮してしまいまいた。いい写真を撮るためにいい写真機はいるのか。ノン! いい写真機でないと写真は撮れないと勘違いしてないか。いい写真だけを求めているんじゃないか。いい写真がほしいのならとにかく歩き回ること、写神を信じること、そうすればかならず自分の写真の中に写神は現れてきてくれる。そう信じてボクはまた歩く。
と、言いながら、またPowerShot A95 買ってしまいましたけどね。だってA70もすり切れてきたんだもん。それくらい使い込みましたよ。

五辧の椿 (a five-petaled tsubaki)



MUSE meets the GOD of photography.


メールでツッコミ

1997|09|10|11|12|
1998|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
1999|07|08|09|11|12|
2000|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2001|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2002|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2003|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|09|10|
2006|01|04|06|07|08|12|
2007|06|07|10|
2009|12|
2010|01|02|04|09|10|12|
2014|05|
2016|08|
トップ «前の日記(■2005/03/21 Mon■ ) 最新 次の日記(■2005/04/18 Mon■ )» 編集
まごアン