》昭和49年7月29日、中島千鶴子という女の子が突然亡くなりました。 》ちょうど30年目の夏がやってきます。 》私がとやかく言うのは変なのですが、 》完全に忘れられたりするのも可哀想なので 》一度だけ皆さんに思い出してもらえればとメールします。 》覚えている方がおられましたら、 》そっと冥福を祈ってやっていただければ幸いです。 》少しでも誰かの思い出の中に生き続けてくれますように
なんだか、せつない。
やっぱり今年も夏の雲に目の中に焼き付いてくる。だけど、その夏の雲への想いは現在につながることもなくセンチメンタルに流されて行く。するとその横でお嬢様が言うのだった。 「まだ夏は始まったばかり」
《京都ホテルの窓から山鉾の巡行を眺めながらちょっとセンチメンタルになった。この部屋からの眺めは新婚旅行の時と同じ眺めだ。》
いまだ見ることのない山鉾巡行を京都ホテルのあの窓から眺めている自分を妄想し、アラーキー以上にセンチメンタルになる。ところで
それは当たり前のことだった。別れた男は罵る。おまえはうそつきだ、俺を騙してばかり、と罵る。そこでどう言い返してやろうと思ったけれど、そんなつまらないことで悩む暇があったら、わたしのようないい女にそんな口をきく男なんか無視しちゃって、甘く耳元で囁いてくれる男をさがそうと思った。わたしはいつだってそうしてきたんだから。バイバイ、それはあんたが言ったんだからね。わたしはあんたにとっては手に余る女だったのさ。だからそんな言葉でしか自分を保つことができないんだね。可哀想な男。わたしから言ってあげるよ、バイバイ。