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■2002/05/17 Fri■  月に向かってそれは抛れず [長年日記]

Last Poets
Holy Terror
maggot-p.com
 きのうの日記で、ポケットの石のことを書いていたら、中原中也の詩に「月夜の浜辺でボタンがひとつ」とかっていうのありませんでした?というメールをもらった。うを〜、中原中也かぁ。

  月夜の浜辺

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが、
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂に入れた。

月夜の晩に、ボタンが一つ
波打際に、落ちてゐた。

それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが、
   月に向かってそれは抛れず
   浪に向かってそれは抛れず
僕はそれを、袂に入れた。

月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に沁み、心に沁みた。

月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?



 うんうん、まさに、そう。「月に向かってそれは抛れず/ 浪に向かってそれは抛れず」
 わざわざ、本箱の中をひっくり返して探しだしてきたんじゃなくて、ネットで検索。あったところにリンクしとこうかと思ったけど、消えてしまうともったいないもん。中也ぁ〜ちゅうたらこれっきゃないっていう写真もかっぱらってきた。そこらネットに落ちてるのはなんでももらっときます。
 ふぅうん、「月夜の浜辺」が中学の国語の教科書に出てたんだ。いまの中学生、いや大学生にしても、詩なんて読むんだろうか。教科書に出てくる詩くらいで、自分で詩集を買ってまで読んだりしないんだろうな。そういえば、ボクにしてももう何年も詩集を買って読むなんてことはなくなってる。なんで? どこかで詩というのは青臭いもんだとかとらえてしまってんだろか。ちょっとしたことばの引っ掛かりからの拡がりは小説より詩の方がずっとずっと大きいのに。




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